Special

挨拶

東京大学大学院 情報理工学系研究科 システム情報学専攻
教授 中村 宏

今日我々は、人と社会のあらゆる活動をコンピューティングシステムに委ね、その結果を利用してさらに高度な情報社会を実現しています.そのために必要となる、安全・快適な高品質コンピューティングを実現することで社会に貢献することが最終的な目標です。

計算システムの高速化により、大規模な問題を精密にシミュレーションするこ とが可能になると、例えば自動車の衝突解析や構造物の耐震設計など、我々の 生活の安全に直結する問題も解けるようになります。処理能力という量が質に 転換し、新たな社会的な価値が生まれます。さらに高性能な計算システムを開 発し、いろいろな人に役立ててもらいたい。そんな思いから私は、高性能な計 算システムの研究を一貫して行ってきました。

また高速化と共に、省電力化、つまり電力消費の削減にも注目しています。デ ジタル家電という言葉に表されるように各家庭のいたるところにプロセッサが 組み込まれ、また携帯端末の普及により皆が手軽にインターネット上のサービ スを享受できるようになりました。これに伴い、社会全体が計算システムに要 求する処理能力は指数的に増えており、その要求をまかなうための消費電力も 指数的に増えてきています。ですから、計算システムの省電力化は社会全体の 省エネルギー化であり、社会的な意義が非常に大きいのです。

計算システムの信頼性も、我々が安心して利用するためには重要です。銀行の オンラインシステムなど、社会活動の基幹を担う重要なシステムは、コストを かけて信頼性を確保しています(それでも障害は起こります)が、我々が普段 利用する安価な計算システムの信頼性確保も、社会に大きく貢献できると思っ ています。

意欲のある学生、研究者の参加を歓迎しますので、興味がありましたら是非ご 連絡ください。